選任決議を欠く登記簿上の取締役の対第三者責任
取締役がその職務を行うについて悪意又は重過失により第三者に損害を与えたときは、当該取締役はその損害を賠償しなければなりません(会社法429条)。
では、登記簿上取締役として登記されているものの、実際には株主総会による選任決議を得ていない者(表見取締役)は、この責任を負うのでしょうか。
株主総会決議はあくまで内部事項であり、外部からは容易に知り得ないものであり、第三者を保護する必要から、取締役就任登記に承諾を与えた者は、自己が取締役でないことを善意の第三者に対抗できない結果、正規の取締役と同様の責任を負うと解されています(会社法908条2項類推適用 最判昭和47・6・15)。
単に名前を貸したつもりでも、このように第三者から損害賠償請求をされるおそれがあるため、注意を要します。
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